ブログ一覧に戻る
仕組み化・DX

クレームの一次返信、会社が先に決める4つ ── AIは出す前の点検に使う

クレームの一次返信、会社が先に決める4つ

お客様から、強い言い方の問い合わせが届いた。担当の方が下書きを書いて、「これで送っていいですか」と相談に来る。読んでみると、謝りすぎている気がする。かといって、どう直せばいいかも、すぐには言えない。そのまま半日が過ぎる。

お客様対応のある会社だと、これが起きますよね。

この記事では、原因がまだ分かっていない段階で出す最初の返信について、会社として先に決めておくことと、AIをどこに置くと安全かを書きます。後半には、その置き方を架空の店の下書きで1回試した記録も、うまくいかなかったところを含めて載せました。

先にお伝えしておきます。返品を受けるか、返金するか、どこまで責任があるか。こうした判断は、会社の側で決めることです。この記事は、クレーム対応や法律上の判断をお示しするものではありません。決め方の話として読んでいただければと思います。

この記事の内容
  1. 返信が止まるのは、会社で決まっていないから
  2. 会社が先に決めておく4つ
  3. AIは「出す前の点検」に置く
  4. 社内には、頼み方の条件を1枚にして配る
  5. 1回試して分かった、任せ方の線
  6. AIに貼る前に消すもの
  7. まとめ

返信が止まるのは、会社で決まっていないから

届いた問い合わせの画面を前に、手が止まっている担当者のイラスト

手が止まる場所は、だいたい決まっています。

  • どこまで謝るか(こちらの非を認めたことになるのか)
  • いつまでに返すと約束するか(調べ終わる時期が読めない)
  • この文面を、誰の確認で出してよいか

3つとも、文章の上手・下手より手前にある、会社の決めごとです。会社として決まっていないから、担当者のところで止まっているのです。決められないことを担当者に投げれば、止まってしまうのも無理はありません。

決めないまま急がせると、今度は逆のことが起きます。原因が分からない段階で「こちらの手違いでした」と書いてしまう。あとで事実が違っていれば、お客様にもう一度説明し直すことになります。

一方、お客様の側から見ると、こちらが調べている時間は「返事が来ない時間」として過ぎていきます。お客様が最初に知りたいのは、自分の連絡が、ちゃんと届いたのかどうかです。原因の説明は、その次です。

会社が先に決めておく4つ

ここから先の決めごとの4つは、KK CONNECTの考え方です。法律や国の資料で決まったものではありません。

① 一次返信で出す範囲

最初の返信で伝えるのは、受け取ったこと、いま分かっていること、いつまでに何を返すか。ここまでで足ります。原因の調査と、返品・返金の判断は、そのあとの別の仕事として切り離します。

② 謝る対象

謝るのは、ご不便をおかけしたこと、お手数をおかけしたことに対してです。非がどちらにあるかは、原因が分かってから書きます。ここを決めておくと、担当者が「謝りすぎ」と「冷たい」の間で迷いにくくなります。

③ 期限の言い方

「明日の午前中に、調べた結果をご連絡します」のように、日と時間帯で書く、と決めておきます。あわせて、約束するのは次に連絡する日だと決めておく。調査が終わる日は、まだ読めなくてかまいません。これで、担当者は期限を書けるようになります。

④ 最後に送信ボタンを押す人

下書きは誰が書いてもよいことにする代わりに、出す前に誰が読むかは決めておきます。元のお客様がどんな言い方をされていたか、これまでどんなやりとりがあったかを知っているのは、社内の人だけですから。

会社が先に決める4つ(出す範囲・謝る対象・期限の言い方・最後に送る人)を並べた図

この決めごとの4つがそろうと、最初の3行は自然に決まります。受け取ったこと、お手数・ご不便への一言、いつ返すか。原因の説明は、3行目より後ろでかまいません。

そして、決めるのは問い合わせが届く前です。届いてから決めようとすると、また同じところで止まります。

AIは「出す前の点検」に置く

決めごとがそろったところで、AIの置き場所です。

クレームの返信をゼロからAIに書かせると、こちらが知らない事実や、まだ確かめていない原因が混ざることがあります。在庫の状況、配送の事情、社内で誰がどう対応したか。AIはそれを知らないまま、文章として自然につながる言葉を埋めてしまいます。

KK CONNECTでも、AIが書いた動画の台本に、元の記録には無い数字が入っていたことがありました(この話は別の記事に書いています)。公開の前に見つかりましたが、それは確認する工程があったからです。

一方、人が書いた下書きを渡せば、入っている事実は、書いた人が知っている範囲だけになります。そのうえで、自分では気づきにくい言い回しと、抜けている確認事項を挙げてもらう。AIに任せる範囲が狭くなるぶん、事故が起きにくくなります。

たとえば「通常はそのようなことはございません」という書き方。事実としては正しくても、受け取る側からは「疑われた」と読めます。書いた本人には見えにくく、他人が読めば気づく。ここがAIの出番です。

会社の決まりとしては、ひとことで書けます。AIに任せるのは「指摘」まで。直すかどうかを決めるのは人。

ゼロから書かせる場合と、人の下書きを出す前に点検させる場合を並べた図

社内には、頼み方の条件を1枚にして配る

点検は、会社で契約・管理しているAIのアカウントで行います(社員の個人アカウントで何を扱ってよいかは、以前の記事に書いています)。文章を貼って頼めるAIなら、同じ頼み方で使えます(こちらで試したのは、OpenAIのAIで1回だけです)。

そのうえで、頼み方は会社で1枚にそろえておきます。頼み方の条件は4つです。

  1. まだ原因が分かっていない段階の、最初の返信だと伝える
  2. 書き直した文より先に、直したほうがよい箇所と、その理由を挙げてもらう
  3. 見てほしい点を、こちらから指定する
  4. こちらが書いていない事実を足さない、と伝える

3つ目の「見てほしい点」も、先に決めて1枚に書いておきます。おすすめは、次の4点です。

  • 原因を決めつけている箇所
  • 期限がぼやけている箇所(「なるべく早く」「追ってご連絡します」など)
  • 相手の言い分を否定して読める箇所
  • 確認したいことが、3つ以上に増えていないか

あわせて、返品・返金・交換を約束する文は書かないように、と入れておきます。判断が必要なところは「ここは判断が必要」と書いてもらうだけにする。決めるのは、会社の側です。

この1枚は、お客様対応の下書きを点検してもらう指示文のページに置いてあります。自社の言葉づかいに合わせて直してお使いください。

1回試して分かった、任せ方の線

ここまでの置き方を、こちらで1回試しました。条件を先に書きます。

  • 試した日:2026年9月18日
  • 使ったAI:OpenAIのAI(ChatGPTの画面ではない入り口から)
  • 送り方:新しい会話で1回だけ。やり直しも、追加の指示も出していません

使ったのは、この記事のために作った架空の店「みどり雑貨店」の問い合わせと下書きです。実在のお客様とのやりとりではありません。点検の例にするため、下書きにはわざと弱いところを4か所残しました。原因の決めつけ、期限がない、相手を否定して読める、質問が4つに増えている、の4か所です。

結果は、4か所とも指摘されました。さらに、こちらが数えていなかった指摘が1件増えています。「このたびは申し訳ございません。」という一文について、何に対するお詫びかがはっきりしない、というものでした。指摘は全部で5件です。

返ってきた言葉を、2件だけそのまま引用します。

「いつ連絡するのかが分かりません。」(「確認して折り返します。」に対して) 「相手の申告を例外的なものとして疑っているように読まれる可能性があります。」(「通常はそのようなことはございませんので、こちらでも驚いております。」に対して)

理由が添えてあるので、直すかどうかを自分で決められます。書き直した文だけを受け取る場合との違いは、ここだと感じました。

そして、うまくいかなかったところも2つありました。ひとつは、「抜けている確認事項」を挙げてもらう項目に、何も出てこなかったこと。返ってきたのは「現時点ではありません。」という答えで、この項目は空振りでした。もうひとつは、最初の3行です(指示文では、最初の3行の並べ替えも頼んでいました)。返ってきた3行目は、新しく書き足された文でした。元の下書きに「いつ返すか」にあたる行が、そもそも無かったためです。中身は一緒に渡したメモの範囲内でしたが、並べ替えを頼んだつもりが書き足しになっていた、というのは事実です。

AIが返してきたものを、そのまま採用する運用にはできません。 理由つきで返してもらい、採るか採らないかは人が決める。この1回の結果も、さきほどの「指摘までがAIの仕事」という決まりと同じ向きでした。

なお、これは1つのAIに、1回だけ送った結果です。同じ頼み方でも、使うAI・設定・日によって、返ってくる内容は変わります。

AIに貼る前に消すもの

お客様の名前・住所・電話番号・メールアドレス・注文番号は、消すか記号に置き換えてから貼ります(「A様」「注文番号◯◯」など)。

ここは会社の決まりとして1枚に書いておきます。担当者によって消し方がばらつかないようにするためです。AIには、貼った時点で届いています。伏せ字は、うっかり書いてしまったときの守りになります。

まとめ

一次返信が止まるのは、会社で決まっていないことがあるからです。出す範囲、謝る対象、期限の言い方、最後に送る人。この4つが決まっていれば、担当者は書き出しで止まりにくくなります。

そのうえで、AIは出す前の点検に置く。指摘までがAIの仕事で、直すかどうかを決めるのは人です。

頼み方の1枚は1回試した記録がありますが、繰り返し確かめた記録はまだありません。会社が決める4つは、KK CONNECTの考え方として書いたものです。お客様とのやりとりは会社ごとに事情が違うので、自社の業務に当てはめて確かめながらお使いください。

お客様対応のどこまでを会社として決め、どこから担当者に任せるか。御社の業務に合わせて整理するところから、お手伝いしています。「何がしたいか」がまだ言葉になっていない段階でも大丈夫です。

今中 樹一
無料相談

御社の場合、どこから始めるか

無料相談は30分・オンラインです。

無料相談を申し込む →

無料・押し売りなし|オンライン・全国対応